新会社法の施行により、資本金が1円でも会社を作ることができるようになってきていますが、実際には登記費用もかかりますし、お役立ち事典「(B)-資金計画の作成」でもお話しているように、設立当初の設備資金や、設立後の運転資金もかかってきます。また開業後、数ヶ月は売上の見通しすら立たないことも考えられます。そうなると、すべて自己資金でというわけにはいかなくなってくることが予想されます。また国民生活金融公庫の2006年度「新規開業実態調査」ではなんと開業資金がおよそ1600万円かかるという調査結果もでています。それでは自己資金で足りない分はどうしたらよいのでしょうか。
自己資金で不足する場合にはまずは、親、兄弟・親戚などから援助してもらえるかどうかを検討しましょう。ただし開業前の創業準備資金として借りる場合は、個人として借りることになるため、借用書を作成する方がよいでしょう。借用書がないと贈与とみなされ贈与税の対象となる場合があるからです。個人事業の場合も同様です。
みなさんもどこかで「国金」(コッキン)という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。正式には国民生活金融公庫といいます。この国民生活金融公庫は、銀行に比べて、借りやすいといわれています。また金利が安く、また固定金利、融資期間が長いなどのメリットがあり、開業時の資金調達としては最も有利な方法だといえます。その他にも国や地方自治体・地方公共団体などが行っている公的な融資・債務保証・助成金・補助金などプロでも把握しきれないほどのいろいろな融資制度があります。ほとんどインターネットで検索できますので、面倒くさがらずに探してみましょう。「自分で探すのちょっと・・・」という方は専門家(お役立ち事典「(B)-専門家(社外ブレーン)の活用方法」参照)にお願いするのも一つの方法です。またお役立ち事典「(C)-事業資金融資と金融機関」では、それぞれの金融機関の特徴について述べています。
知り合いにお金を出してくれそうなエンジェル(個人投資家)がいれば、そのような人にお願いすることができるかもしれません。しかし個人とはいえ、投資家はリターンを求めるものです。 資本金として出資してもらえば、将来事業が軌道に乗ったときには、株式の上場を目指すことを強いられたり、会社の経営方針に反対されたり、配当を期待されたりします。それは出資者として当然の権利です。出資を受けるということは、他人のお金を運用することであり、非常に重い意味を持つことを忘れてはいけません。
革新的な事業内容である程度規模の大きなビジネスを目指す場合はベンチャーキャピタルから出資してもらう方法もあります。ただ厳密な事業計画や資金計画が必要になってきますので、それなりにハードルは高いといえるでしょう。
このように開業時の資金は銀行やベンチャーキャピタルなどに頼ることができないのが普通です。しかし早い段階から継続してコンタクトすることにより信頼を得ることが出来、早期の融資が出資に結びつく可能性を高めてもくれます。