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アイスクリーム販売とレストランの運営

都道府県北海道 年代40代 業種食品製造
 有限会社ファーム花茶
[ 取締役 ]
小栗 美恵 さん

農家に嫁いだ小栗美恵さんは経済的に自立したいと、いちご狩りの農園を開始。旬の素材を使ったアイスクリームの製造・販売やファームレストランの運営など自然を生かした事業で、地域の活性化にも一役買っています。

起業したとき

仕事の経験
結婚
子ども
生かした していた いた

プロフィール

高校卒業後、家事を手伝い、北海道で農業を営む夫と22歳で結婚。経済的自立もできず、自分の意思もなかなか通さないことが多かった生活に悶々とした時を過ごす。1989年、家族の反対を押し切って、いちご栽培をスタート。翌年にはいちご狩り農園を開業。さらに96年、いちごや農産物に付加価値をつけたいとアイスクリームの製造・販売を開始する。2002年には有限会社花茶として法人化し、故郷に戻った息子とともに、ファームレストランも併設(開業)した。

起業年表

年齢 西暦 主な活動
22歳
1972年
結婚。高知県から北海道へ  
39歳 1989年 いちご栽培をスタート 
40歳 1990年 いちご狩り農園の運営を開始  
45歳 1995年 アイスクリーム製造に関する勉強を始める 
46歳 1996年 アイスクリームの店「花茶」をオープン 
52歳 2002年 有限会社花茶として法人化。ファームレストランも開業 

起業ストーリー

「経済的に自立したい」という主婦の想いが、いちご栽培により開花

かつては静かな農村地帯だった北海道千歳市泉郷。今やその農村地帯は花で彩られ、千歳空港から観光バスも続々とやって来るほどになりました。その元気をつくったのが、いちご狩り農園やアイスクリーム店、ファームレストランを経営する小栗美恵さん。今でこそ周囲の農家は一体となって地域を盛り上げていますが、小栗さんがいちご狩り農園を始めた1990年当時は、小栗さんの活動は周囲からは好奇の目で見られ、家族からも大反対されたと言います。それでもあきらめなかったのは、自分の意思を持ち、経済的にも自立したい、という強い想いでした。「私は高校の進路を決める頃、心臓が悪いと誤診されて、医師から大人になっても出産をすることができないと言われました。そうなると結婚も難しいはずだから、自分を自分で養わなくてはいけないと強く思うようになりました。結果的には結婚もして、3人の子も産んで育てることができたのですが、それでも経済的に自立したいという想いは、農村に嫁いでなお強まりました」。『家』意識が強く女性に対して保守的な面もある農村。そこで暮らす主婦のほとんどは、自由に自分が使えるお金を持つことは少ない。主婦同士でランチに行こうという話になっても、自分のことなのに「家に聞いてみないとわからない」。そんなことが多かった。「身内の葬儀の時でした。遺された者同士で、故人の思い出話を語っている時に、その様子を見ていて思ったのです。私が死んだ時、『いつもお母さんは我慢していた』と語られるのは絶対にいやだと。子どもたちに私の生き様を大いに語られる人生を送りたい、と切実に思いました」。

小栗さんに転機が訪れたのは1990年。近くの農協に来ていた、いちご栽培技術をもつ普及員が、たまたま出会った小栗さんに「いちご栽培をやってみないか」と声をかけます。「いちご栽培は重労働ではないので女性に向いている。本気でやるならノウハウはすべて教える」などと話を聞いているうちに、むくむくとやる気が湧いてきました。「本当はお金を得られるなら何でもよかったんです、きっと。でも普及員の話を聞いているうちに、これはチャンスなんじゃないか。今ここでやらないとダメなんじゃないか。そう思ったんです」。小栗さんはいちご栽培を始めることを決断。家族にはいちごの苗を定植する前日まで反対され続けましたが、ここは女の意地、と貫き通しました。そして、いちごを栽培して収穫するだけでなく、いちご狩り農園として一般の人を呼び込む形でスタート。「私は高知県の出身で、ぶどう狩りやいちご狩りによく行きました。子どもも連れて行くと喜んでいました。でも北海道ではあまりフルーツ狩りは見なくて。それでいちご狩りのできる観光農園にしたら珍しいし、お客さまも来るかなと思ったのです」。結果は、あんなに反対していた家族や、好奇の目で見ていた地域の人も応援するほど大盛況に。ほかの農家の女性も巻き込んで、いちご狩り農園は地域の取り組みへと発展していきました。

特区としてアイスクリーム販売の許可が出るまで、行政と攻防戦

オンシーズンの夏期を中心に、順調に売り上げを伸ばしていったいちご狩り農園でしたが、いちご狩りだけではシーズンが短いことが悩みの種でした。とうもろこしを茹でて出したりと販売も始めていましたが、「あと100円、もう100円」と客単価をどう上げればいいのか考えるようになりました。「いちご狩り農園をやってみて、都会の人は農業に意外と興味を持っているということがわかりました。また、人参が苦手な子どもでも自分で抜いた人参なら食べることができたというお客様の声に、一般の人と農業をつなげられたらいいなと。また、雄大な自然など景観がいいですし、この資源を活用しない手はないわけです。オンシーズンに、農作物に付加価値を与えた商品で客単価を上げ、お客さまの滞在時間を伸ばすには……。アイスクリームだ!と思ったのです」。小栗さんの出身地である高知では「アイスクリン」という冷菓が有名で身近な食べ物だったのです。牛乳王国の北海道では、本格的なアイスクリームで勝負できるかもしれません。「これなら、地元の旬の農作物を使って多種多様な味をつくり出せますし、流行に流されるようなものでもない。それに、オンシーズンの夏に食べたいものです」。アイスクリーム販売に勝算を感じた小栗さんは「この味だからこそ、また食べたい」をつくり出すために、食品加工センターに通って、アイスクリームづくりの基礎や製造ノウハウを学んでオリジナルレシピを開発。半年間かけて、安定剤は使っているものの、自然の材料そのままの味を最大限に生かしたオリジナルアイスクリームを完成させました。

96年、遠くからでも目立つ黄色の店舗で、アイスクリーム店「花茶」をスタート。お客さまはその味に喜び、続々と人が集まるようになりました。しかし、大きな問題も抱えていたのです。実は、小栗さんが出店した地域は農地のため、農業以外の事業を行ってはいけない市街化調整区域でした。行政からストップがかかります。しかし、当初は反対していた地域の組合長も小栗さんのがんばりをずっと見てきただけに「法律は変えられるもの。がんばりなさい」と応援してくれるようになります。地域の応援、多くのお客さまの笑顔を力に変え、小栗さんは行政と戦い続けます。「農村は衰退していくばかりです。農作物に付加価値を与えたり、都会の人に農村や農作物を見せて関心を持ってもらったりしていく必要があると。また、アイスクリーム販売は農家の現金収入になるし、女性の自立や雇用にもつながる。そういう想いを行政担当者に手紙で送ったこともありました」。まだ「グリーンツーリズム」といった言葉もない時代、いち早くそこに目をつけた小栗さんを、行政が理解するまでに1年間攻防が続きました。そして、遂に特区(*)として営業の許可がおりたのでした。

創業20年を迎え、事業継承も視野に入れた事業展開を考えるように

「花茶のアイスクリーム」が海を越えて、知れ渡るにはそう時間がかかりませんでした。オフシーズンとなる冬は本州の百貨店などに出店を要請され、催事販売をする機会も増加していきました。2002年には、ファームレストランのオープンを機に、法人化。自家農園で採れた新鮮な野菜を使った料理が人気です。その厨房で腕をふるうのは小栗さんの長男。アイスクリーム店では次男が製造を担っています。ふたりともUターンして小栗さんを助けています。「私は少しずつ現場から離れていくようにしています。私の代で終わってはだめ。継承者になる人をきちんとつくるまでやってこそ、本当の成功じゃないかって思うのです。事業は継続させていかなくては」。

起業して20年、還暦を控えて小栗さんは事業継承までも考えるようになってきました。「この20年、ずっとアンテナを張り続けてきた感じがしています」と振り返ってしみじみとしますが、どうやらまだまだやりたいことがいっぱいある様子。「ここは夜、星がとってもキレイなんです。この夜空の下、静かでスローな時間をひと組だけに貸し出すキャンプ場なんてどうかなって。地元の野菜や山菜を天ぷらにしたりして。都会の人、喜ぶんじゃないかしら?」。かつては、自分の葬式の場面を想像して、人生を大いに嘆いていた小栗さん。泉郷を一躍元気にさせて名物人となった今、小栗さんにその日が訪れた時は、一晩では語り尽くせない武勇伝の数々が飛び出すこととなるのでしょう。

(*)構造改革特区のこと。特区とは、国の規制によって民間企業や公共団体などの事業や活動の妨げていることから、民間企業や公共団体などの発案によって、地域特性に応じて規制の緩和を行う特定の地域(特区)。

会社概要

会社(団体)名 有限会社ファーム花茶
URL http://www.kacha-ice.com
創業 1996年6月
設立 2002年2月22日
業務内容 アイスクリーム製造・販売、ファームレストランの運営

(小栗 美恵さんの場合)

起業のきっかけ、動機

経済的に自立したい。その一心でした。私は高校生の頃、医師から心臓が悪いので出産できないと言われていました。結果的にはそんなことはなかったのですが、ずっとそう言われていたので、出産できないということは結婚もできないに違いない。だったら、「自分を自分で養わなくては!」と。そんな気持ちが人一倍強かったんです。ですから、農業をしているのに見返りの報酬がないこと、農家の女性同士でどこかへ行こうと計画しても、家族の許可を取らなくてはいけない、農家ならではの保守性が多かったことが辛くて……。悶々とするばかりでした。ですから、農協にいちご栽培を広めようとする普及員にたまたま「いちごの栽培をやってみないか」と声をかけられた時は、とにかくやりたい、これがチャンスだと飛びつきました。もちろん、家族は大反対でした。でも、定植する前日まで反対されましたが、女の意地を通してやり切りました。

起業までに準備したこと

いちご栽培くらいです。その方法は農業改良普及センターの普及員からすべて教わりました。あとは、いちご狩りの看板を出したくらいでしょうか。アイスクリームの販売を始めた時も半年間、食品加工センターに通って、アイスクリームの基礎からレシピづくり、製造ノウハウまでを徹底的に学んでオリジナル商品を開発しました。

起業時に一番苦労したこと

いちご狩り農園を始める時は、家族の反対を押し切って始めたわけですから、とにかく意地を貫くことでしょうか。アイスクリーム販売の時は、これだ!といえるオリジナルの味をつくっていくのが大変でした。でも一番大変だったのは、アイスクリームの販売を始めて観光農園化した時。この場所は農地なので、農業以外やってはいけない市街化調整区域だから、物は売ってはいけないと行政に言われて……。けれども、ただ農業をするだけでは地域が衰退してしまう。都会の人が観光で訪れることで農業に関心を持ってもらうこともできるし、雇用が生まれれば農家の女性たちの自立にもつながるなどと、1年をかけて説得。どうにか特区(*)として認めてもらい、ドライブインとしての許可を何とか取りました。

(*)構造改革特区のこと。特区とは、国の規制によって民間企業や公共団体などの事業や活動の妨げていることから、民間企業や公共団体などの発案によって、地域特性に応じて規制の緩和を行う特定の地域(特区)。

だからうまく起業できた!…その一番の理由

「ここにしかない」という資源の活用です。農村風景も商品のひとつですから。また、味も「ここにしかない」にとことんこだわっています。アイスクリームは、地元の旬の素材を使っているので、まさしくここに来ないと食べられない。それが、応援してくれる人やファンを多く得られた理由です。

起業時の環境(友人や家族の協力他)

最初家族は大反対で、押し切って始めたかたちでした。利益を上げて収入になることを実際に見せて、説得していきました。また、地域の人も市街化調整区域だったことで最初は反対していましたが、がんばっている私の姿を見て、応援してくれるようになり、地域ぐるみで環境整備を努めるようになっていきました。

最初のお客さんと営業方法

最初のお客さまは、ゴルフ帰りに「いちご狩り」の看板を見て気になっていた方が来てくれました。あまり宣伝はしていなくて、ほとんどクチコミです。だから、お客さまとのコミュニケーションはとっても大切にしています。黄色の建物も目立ちますし。

起業の際の重要ポイント

独自のこだわりを持つというのは大切なことだと思います。みんなと同じ、他と一緒では、自分のところに来たいとか、買いたいという理由にはならないですから。他人とは違う何かを持つことはとっても重要です。

役に立った情報源や相談先

農業委員会や農業改良普及センターは、いちごの栽培やアイスクリームの製造ノウハウを学ぶ時に相談に行きました。また、WWB/ジャパン主催の女性起業家向けのセミナーでは起業ノウハウを学べましたし、同じ志を持つ女性起業家にも出会えました。

開業資金

ゼロ円です。機材などの支払は、収入が得られる秋まで業者さんに待ってもらいました。アイスクリーム販売で店舗は一千数百万円で、宅地を売却して建てました。店舗の備品などは年末まで待ってもらったり、見かねた業者さんが、ただ貸しなどして機材を貸してくれました。

活動拠点(事務所・店など)

いちご狩りのできる農園に、アイスクリーム店、ファームレストランがあるのは北海道千歳市の雄大な景色を持つ農村内。地域全体で環境整備にも努めており、店の前のルート337号線は「ストロベリーロード」と名付けています。

起業時の管理体制の整備(税理士、弁護士、弁理士など)

当初はまったく整備していませんでした。法人化する前は税務も自分でやっていました。一度、税務署の調査があったのですが、怒られるどころか、逆に「ここまで、よくひとりでやったね」とほめられました。法人化してからの税務は税理士に任せていますが、それ以外のことは、特に専門家に依頼していません。

起業後の転機

やはりアイスクリーム店を始めた時が一番大きな転機だったでしょうか。少しでもお客さまが集まる期間を長くしたい、少しでも客単価を上げたい、少しでも地域を元気にしたい。そんな気持ちからでした。アイスクリームづくりに関してはまったくの素人で、ゼロから勉強していきましたが、いちご狩りで得たお客さまの反応や実績が力になったと思います。

起業して自分が成長したと感じたこと

自分の考えや思いを、自分の言葉で話せるようになったことです。他人の気持ちに振り回されるのでなく、自分のしっかりした信念で物事を処理していけるようになったと実感しています。

起業を志す人への一言アドバイス

よく周りを見渡すとチャンスは転がっています。誰にでも何かしらの資源がありますが、それに気づくことが大切です。私の場合、北海道の雄大な景色も資源でしたし、農村だからこそ地元の旬の作物を活用した味をつくろうという発想ができました。そうやって自分が持っている資源を生かせば、資金もそうかかりません。何をするにもお金がかかると思っている人がいますが、そんなことはないですから。

気分転換のしかた

最近は社交ダンスです。いくつになっても背筋が伸びてしゃんとしていたいんです。私が通っているダンス教室の先生はとっても厳しい方。怒られる時もあります。年齢を重ねると人に怒られることってなくなりますし、教えてくれる人もいなくなるので、怒られることや教えを乞う時間はとっても貴重です。

その他伝えたいことなど

起業でうまくいった人は「人に恵まれた」とよく言いますが、多くの人が助けてくれたということは、自分がやりたいことや想いをたくさんの人に話していたからだと思います。ですから、「こんなことをやりたい」と人に話すのはとても大事です。また、逆に聞くことも大事。特にクレームです。ほとんどの人は、多少いやな思いをすることがあっても何も言わず去っていき、二度目はない、というパターンです。いやな思いをした時に、それをわざわざ伝えてくれる人は興味を持ってくれているわけですから、大事にすべきです。なかなか聞けない本音を教えてくれるわけですから、ありがたい存在です。


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