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親子のためのスキンケア商品の開発・製造・販売

都道府県東京都 年代30代 業種美容
 株式会社ナチュラルサイエンス
[ 代表取締役 ]
小松 令以子 さん

親子のスキンシップをテーマにした自社のスキンケアブランド「ママ&キッズ」を立ち上げた小松令以子さん。きっかけは、息子さんのアトピー発症を機に開発された、たった一つの低刺激石けんとの出会いでした。

起業したとき

仕事の経験
結婚
子ども
生かした していた いた

プロフィール

日本女子大学化学科卒業。某企業で化粧品や医薬品の中身と容器の技術開発に関わり、皮膚理論を修得。子どものための低刺激石けんの開発にあたり、株式会社希松を設立。化粧品のOEM事業を展開するなかで、スキンケアブランド「ママ&キッズ」を立ち上げ、自社ブランドのための会社、株式会社ナチュラルサイエンスを設立。愛用者参加型の商品開発を行い、現在12万人の愛用者を獲得。店頭への卸しも行う傍ら、愛用者向け機関誌「Natural Messe」を年4回発行し、ベビー育児雑誌などでスキンケアアドバイザーとしても活躍中。3児の母でもある。

起業年表

年齢 西暦 主な活動
23歳
1984年
大学卒業、結婚、出産某企業に就職し、化粧品や医薬品の技術開発と容器開発に関わる 
27歳 1988年 次男にアトピー性皮膚炎発症。低刺激の石けんの研究開発に当る 
31歳 1992年 石けんを販売するために(株)希松設立。OEMをスタート 
33歳 1994年 自社工場を設立 
35歳 1996年 自社ブランド(株)ナチュラルサイエンス設立 
40歳 2001年 通販開始(簡単なカタログと注文書)。会員向け機関誌の発行を開始 
45歳 2006年 現在の場所に事業本部と研究所を移転。工場を増設 

起業ストーリー

息子のアトピーをきっかけに生まれた低刺激石けん

大学時代、化学科の研究室が大好きだったという小松令以子さんでしたが、大学卒業後はすぐに結婚し出産も経験。しかし、そのまま専業主婦の道を選ばず、子どもを保育園に預けて、医薬部外品や化粧品に関わる会社に就職しました。
製薬会社や化粧品会社に商品の提案を行い、容器や中身の技術開発にも関わるという忙しい日々を送るなか、次男が誕生。ところが生後6ヵ月を過ぎた頃から、次男がアトピー性皮膚炎になってしまったのです。
小松さんはお医者さんを10ヵ所以上訪ねるうちにアトピーケアのための低刺激石けんの開発を思い立ち、さっそく製薬会社の研究室と小児皮膚科医との共同で、試作開発に取り組んでもらいました。こうして念願の石けんが誕生したのです。しかし、大規模な販路につながらないという理由で、せっかく開発した低刺激石けんは、製薬会社では、お蔵入りになってしまいます。
「なんとかこの石けんを世に出したい」という思い。また、小松さんは自らの子育て経験のなかで、あることを考えていました。それは、バスタイムやお風呂上がりの時間を、スキンケアを通して親と子のスキンシップのひとときにできないだろうか…ということでした。そんな思いが、いつの間にか「ママ&キッズ」というブランド名に結びつき、小松さんを起業へと駆り立てていったのです。

自社ブランド資金を捻出するためにOEM事業をスタート

自分の貯金1000万円を資本金に、株式会社希松を設立したのは1992年のことでした。まずは、手もとにある低刺激石けんの最低製造個数3000個をどうやって売るかが大きな課題です。「とにかく宣伝しなくてはと思い、某女性誌に見開きで広告を出したのです。広告費は、250万円。清水の舞台から飛び降りるような気持ちでした」 そう小松さんは、当時を振り返ります。ところが、この広告で売れた石けんは、たったの2個。落胆よりも、こうなったら、なんとかお金を稼がなくては…という思いのほうが強かったそうです。
そこで小松さんは、いままでのノウハウを生かし、発売元が要望する化粧品の企画開発を手がけるOEM(*)事業を行うことを決めます。 これは小松さんにとっては得意分野だったこともあり、OEMは順調に軌道に乗り始めます。小さな自社工場をつくり、OEM事業を拡大していく一方で、自社ブランド「ママ&キッズ」にも力を注ぎました。唯一の製品だった石けんのほかに、乳液やクリームといったスキンケア製品を少しずつ展開。知り合いの皮膚科や産婦人科に卸したり、サンプルを配布して、簡単なカタログで注文をとりながら、少しずつリピーターが増えていったと言います。

愛用者参加型の商品開発で信頼を得た

OEMと共に、自社ブランドも順調に業績をのばしていくうちに、ひとつの問題が持ち上がりました。OEMと「ママ&キッズ」の製品が末端バッティングするようになってしまったのです。そこで小松さんは、自社ブランドを別会社にすることにしたのです。
まさに機が熟して、株式会社ナチュラルサイエンスが設立されました。
2001年にはカタログにより通販が開始され、会員向け機関誌『Natural Messe』を発行。
「最初は100人しかいなかった会員が、お客様の声を聞きながら商品開発を進めてきたかいあってか、いまでは12万人になりました。最初の100人の方の中でまだ残ってくださっている方がたくさんいます。そういう方たちを含め、これからもリピーターを大事にしていきたいですね」
最後に、小松さんから起業を目指すみなさんにメッセージをいただきました。
「起業すること自体よりも、その後が大切です。商品販売の場合は、お客様にとって必要なものだから広めたい!”という信念が必要で、お金儲けだけのことを考えたら、大変な時期は乗り越えられないのではないでしょうか。それから、私は情報収集のために24時間アンテナをはっています。世の中、素敵な事だらけです。これ素晴らしい!と思ったことをどうやって自分の仕事に生かせるか。自分たちの発想だけでは限界があるので、自己満足に陥らないためには、人の発想を知る必要があります。そして、何事もあきらめずに、こつこつやるほかないですね」

*OEM(Original Equipment Manufacturing)とは、販売元の製品を製造すること。また、製造するメーカー。

会社概要

会社(団体)名 株式会社ナチュラルサイエンス
URL http://www.natural-s.jp/
創業 1992年1月
設立 1996年8月8日
業務内容 化粧品、医薬部外品等の企画開発、製造、販売

(小松 令以子さんの場合)

起業のきっかけ、動機

もともと、某企業で化粧品や医薬部外品の企画開発などをしていました。子どもがアトピーになったのをきっかけに、低刺激の石けんを共同で開発し、臨床試験で効果が認められましたが、大規模な販路に繋がらないという理由でお蔵入りに。この石けんを世に出したいという思いから起業しました。

起業までに準備したこと

起業するぞ!という思いで準備したことは特にありません。バスタイムや風呂上がりの時間に、ママと子どもがスキンシップをはかれるような商品を提案していきたかったので、「ママ&キッズ」というブランドを考え、協力していただける人の輪づくりに時間をとりました。

起業時に一番苦労したこと

化粧品会社を経営することや事業展開に関して全く知識がなかったので、一から自分で始めなくてはいけませんでした。広告を打たないと始まらないと思い、最初の段階で、資本金の1/4を投入して某女性誌の見開きに広告を出しましたが、石けんが2つ売れただけ。その後は、親に借金をしたり、銀行に融資をお願いしたり…、商品を世に出すための資金的体力づくりが一番の課題でした。

だからうまく起業できた!…その一番の理由

資金作りのために、販売元が要望する化粧品の企画開発を手がけるOEMを始めました。最初は企画開発のみで実際の製造は他の工場にお願いしていましたが、工場側になかなかこちらの意向が伝わらないので、複数の販売元のOEMを手がけるようになった段階で小さな自社工場を設立しました。OEMは資金の基盤になっただけでなく、販売元からの難しい要望に答えることで研究と製造の技術レベルを上げていくことができました。

起業時の環境(友人や家族の協力他)

夫も自ら会社を経営しているので協力的でした。友人知人を含め、「ママ&キッズ」の理念に共感してくれる人がまわりにいたことも大きかったです。信頼できる医師のアドバイスを得ることができたこと、メーカーの研究者が入社してくれたこと、大手化粧品会社の熟練研究者の方やレベルの高い技術者が顧問として複数来てくださったことなど、研究と製造の柱をつくるために、たくさんの方々の協力に恵まれました。

最初のお客さんと営業方法

最初に私の手元にあったのは、石けん3000個。これが最低製造個数でした。広告を打っても全く売れなかったので、自分の知り合いに手紙を書き、子どもが通っていた0歳児専門の保育園の保護者の方などに、簡単な紹介文と連絡先を載せてサンプルとして配りました。雑誌社などに記事として紹介してもらえるように頼みに行くこともありました。こうた地道な営業で少しずつリピーターが増えていったように思います。

起業の際の重要ポイント

お金のためだけに起業しない。やりたいことを明確にする。起業する機会が熟すタイミングを待つ。短期的にも長期的にも具体的な目標を持つ。事業が上向きになるまで維持していける資金的体力をつくる。支援者や人脈をつくる。自分の事業規模に合わせて銀行を選ぶ…といったところでしょうか。それから、中小企業が資本金を置く金融機関を選ぶ場合は、大手銀行よりも街の信用金庫のほうが経営の細かな相談にのってくれる可能性があるので向いていると思います。

役に立った情報源や相談先

新聞などに載っていた記事で共感し、いずれ何かで繋がるかもしれないというものはチェックして、場合によってはアポイントをとって訪ねました。書籍の後ろに紹介されているようなセミナーにも積極的に行って、講師や集まった人たちと名刺交換をして、ビジネスチャンスをつくるようにしました。周囲に事業を相談できる人がいたことも大きいですが、公的機関や取引先の信用金庫なども相談にのってくれます。また、こうした機関で助成金の情報も得て利用しました。

開業資金

貯金の自己資金1000万円。

活動拠点(事務所・店など)

最初は、マンションのワンルームからのスタートして、事業が上向きになるに従い 部屋が増えていき、最終的には3つの部屋を借りました。2006年4月に今の場所に研究室と会社を移転しました。

起業時の管理体制の整備(税理士、弁護士、弁理士など)

税理士と司法書士には最初からお願いしました。現在は弁護士にも相談できる体制をとっています。

起業後の転機

1992年に(株)希松を設立した後、OEM事業で展開する商品と、自社ブランド「ママ&キッズ」の商品が末端バッティングする可能性があったので、1996年に自社ブランドの会社(株)ナチュラルサイエンスを設立しました。毎月1000万円の売り上げを目標にしましたが、月100万円しか売れない経営状態が5年続きました。2001年に奮起して、簡単なカタログで通信販売を開始し、同年に会員向け機関誌「Natural Messe」を発行。翌年から徐々に売り上げを伸ばし、店頭流通への卸しも本格的になり、工場の生産が追いつかないほどに。2006年に事業本部を現住所に移転し、工場も増設しました。

起業して自分が成長したと感じたこと

社会的責任を負っていることを実感できるようになりました。企業の中にいたときも、組織の一部として責任を果たしてきたつもりでしたが、起業してみて初めて自分が矢面に立つという経験をしました。当初、自分ひとりだったときは小さな判断ミスが業績に直接響くことを身をもって学び、現在は、社員やその背景にいる家族を食べさせていくという責任を感じています。私どものスキンケアを使ってくださるお客様にとっても、信頼される企業であるためには、日夜のたゆまぬ努力と信念が必要だと感じています。

起業を志す人への一言アドバイス

起業すること自体よりも、その後が大切。商品販売の場合は、自分がお客様に必要なものだから広めたい!”という信念が必要で、そうでなければ大変な時期を乗り越えられないのではないでしょうか? それから、情報収集のために24時間アンテナをはっておくといいです。世の中、素敵な事だらけなので、これ素晴らしい!と思ったことをどうやって自分の仕事に生かせるかを考えてみてください。自分たちの発想だけでは限界があります。自己満足に陥らないためには、人の発想を知りましょう。そして、何事もあきらめずに、こつこつやってください。

気分転換のしかた

娘と店頭リサーチを兼ねて買い物に行くのが楽しいです。家では子どもたちとふざけていることが多く、会社や仕事のことを夫や子どもに報告したり、アイデアをもらったりしています。いまでも、子どもに「ママ&キッズ」の商品でマッサージをして、お互いにスキンシップをする時間を大切にしています。

その他伝えたいことなど

経営者は、ある面、大胆でかつ小心者であるべきだと思っています。それから、お金は“生きた使い方”をすることが大事です。


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