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心の教育プログラムを提供

都道府県東京都 年代60代 業種講師
 有限会社プロア
[ 代表取締役 ]
小南 奈美子 さん

アメリカで医師として活躍し、人間の“体”に向き合っていた小南奈美子さんは、“人間教育”との出会いを機に、“心”を扱う仕事へ。69歳で起業。現在、“個の発展”のためのプログラムを提供し続けています。

起業したとき

仕事の経験
結婚
子ども
生かした していなかった いなかった

プロフィール

愛知県出身。米国の医大で学び、同国にて内科・腎臓科の専門医を務める。医師を退職して人材育成に携わり、帰国後は、会社経営、社員およびリーダーの育成などを行う。退職後、米国の大学にて経営学を専攻。帰国後、不登校児と親のために「個の発展」プログラムを提供。有限会社プロア設立。NPO法人プロア・エデュケーション設立。医学博士(米国)、米国医師会会員。著書に『Namiさんの娘たち』(オンブック)。

起業年表

年齢 西暦 主な活動
23歳
1954年
渡米、大学入学 
27歳 1958年 大学卒業、医大入学 
31歳 1962年 医大卒業、インターンシップに 
32歳 1963年 結婚のためにハワイに移住するが、翌年、専門医としての訓練と研究のために再びアメリカ本土の大学病院へ  
39歳 1970年 ハワイにおいて腎臓科の専門医に就任する一方ハワイ大学医学部で教鞭をとる。離婚し翌年再婚 
43歳 1974年 ホノルルで人間教育のトレーニングを受ける 
47歳 1979年 人間教育トレーナーとして米国他で活躍。52歳で離婚 
53歳 1985年 日本へ帰国。プログラムを開始し、米国を本社とする人間教育を行う会社の日本支社を立ち上げる 
67歳 1998年 退職。再び渡米し、マサチューセッツ工科大学で経営学を専攻 
69歳 2000年 有限会社プロア設立 
71歳 2002年 NPO法人プロア・エデュケーション設立 

起業ストーリー

体を扱う仕事から、心を扱う仕事へ

小南奈美子さんの仕事をひと言で言えば、人間の“心”を扱う仕事と言っていいでしょう。現在は、NPO法人として、不登校児とその親のためのプログラムを実施しているほか、企業における人材開発や、個人のためのプログラムも行っています。
「実際には、6〜12人、多くても30人くらいの人たちを集めて、会話を促しながらグループワークをしていきます」
もともと小南さんは、アメリカにおける専門医の訓練時代から、内科と腎臓科の医師として人間の“体”に向き合ってきました。
「医者としての私は、常に患者の外に病気の原因を探していました。しかし、さまざまな患者と接していくうちに、外ではなく“内”に目をを向けざるを得ないことが起きてくる。つまり、医学では説明できないような“心の問題”が患者に与える影響について考えるようになっていったのです」
そして小南さんにひとつの転機が訪れます。
「ある日、いつも気難しい顔をしている友人の医師が、食堂にものすごい明るい顔をして入って来た。どうしたのかと聞いたら、“人間教育”を受けて来たと言うのです。彼の話を聞いた私は、これこそが、いままで知らなかった人間の他の面を探求できると道だと思え、医学も夫も住まいも、そして最愛の猫も3年かけて手放して、その道へ飛び込んだのです」

組織から退き、勉強のために再び渡米

当時、サンフランシスコを拠点に行われていた“人間教育”のプログラムは、小南さんの価値観を大きく転換させるものでした。
「自分の観点さえ変えれば、環境を変えなくてもすべて変わってくるという考え方が基本でした。例えば、お姑さんとうまくいかない人、いじめにあっている人などが変わることができたら、どんなに楽になるだろうと思いました。これを日本へ持っていきたい!と思ったんですね」
こうして小南さんは、勉強期間を終えてアメリカでトレーナーとして経験を積み、日本に支社を立ち上げたのです。
「最初は人が集まらず苦労しましたが、そのうちクチコミで広がり、東京だけでなく大阪にも事務所ができるほどになりました。でも、この頃の私は、まわりにお膳立てしてもらっていたようなものです。だから、会社から退いたとき、経営というものを基礎から学ぶ必要性を感じました」

73歳になって、本当の意味で起業できた

再び渡米した小南さんは、このとき67歳。マサチューセッツ工科大学で経営学を専攻しながら、これからの道を模索していました。ちょうどその頃、日本で不登校児童のことがマスコミに取り上げられていたのです。自分が培ってきたプログラムの経験を生かせるかもしれない…そう考えた小南さんは、帰国すると早速、不登校を考える集まりなどに出向きました。
小南さんは2000年に有限会社プロアを設立し、不登校児童のためのフリースクールを開校。「初めて担当したのは2人の中学生でした。お母さんたちに、6ヵ月で復学か就職か、どちらかの社会復帰をさせるという約束をしましたが、2人とも復学し、安心して人と話せるようになったのです」
そして、不登校児と接するうちに、「不登校になってからでは遅すぎる、親が育つようにする方が、より大きな貢献が可能になる」と考え、2年後には、親が費用を気にせず安心してプログラムを受けられるようにと、NPO法人プロア・エデュケーション設立し、子育て講演会や親をサポートするプログラムを開始しました。
「でも、私が本当の意味で起業したのは3年前です」と語る小南さん。実は、起業して4年目の73歳のときに、それまで一緒にやってきたスタッフを解雇して、一人になったのです。
「営業スタッフを置いて人集めをしていたのですが、結局いままでやってきたことと変わっていないということに気がついたのです。私が苦手だった、人に頭を下げること。今は、それをしてでも話を聞いてもらおうとしているところです。いちばん最後まで残しておいた人生の課題です」
プロアが提供するプログラムに共通するのは、“個の発展”。それは、相手が不登校児であっても、企業人であっても、起業する女性であっても変わりません。
「大切なのは足りないものを探すのではなく、自分を肯定し、個としての自分を発展させることです」
それは、小南さん自身が体現してきた生き方そのものでもあるような気がします。

会社概要

会社(団体)名 有限会社プロア
URL http://proa.jp/proa/
設立 2000年1月
業務内容 プログラム提供

(小南 奈美子さんの場合)

起業のきっかけ、動機

自分の今までの経験を生かして、より幸福に満足に効果的に生きられるような機会を提供するためです。
通常、問題解決は枝葉を扱いますが、どんなに枝葉を扱っても本当の解決にはならないということを医者として、またその後の教育および会社経営などにより発見してきました。枝葉、つまり帰結を扱うのではなく、根っこである原因を扱う方法を提供したかったのです。
不登校児の社会復帰(学校または仕事)を目指すための、児童本人や親の意識改革。また、企業人の意識改革などに根本的な変化をもたらしたいと思いました。

起業までに準備したこと

プログラムの創作と人集めのためのプロモーションです。

起業時に一番苦労したこと

人を集めることがいちばん大変でした。

だからうまく起業できた!…その一番の理由

目的と目標が明確だったことと、まわりの協力を得ることができたこと。
誰かに頼るのではなく、起業した私自身が会社の土台となっていること。終点の映像、いわば、つくりたい最終結果が明確であることです。

起業時の環境(友人や家族の協力他)

知人・友人の協力を大いに得ることができました。

最初のお客さんと営業方法

プロアが提供するプログラムがお客様の人生にどう影響を与えられるか、参加することでどんな結果が得られるのかを効果的にお話しました。

起業の際の重要ポイント

目的と目標が明確であること、立場と関わり方が明確であること、起業し成功するための自分自身がクリアであることです。

役に立った情報源や相談先

不登校の場合は「不登校を考える会」などが掲載された都庁の情報誌。その他は口コミです。

開業資金

自己資金1000万円。

活動拠点(事務所・店など)

事務所。

起業時の管理体制の整備(税理士、弁護士、弁理士など)

税理士、弁護士。

起業後の転機

古いモードにのっとった相関関係で仕事をしていた従業員を解雇し、本当に独立する覚悟を決めたときが大きな転機でした。

起業して自分が成長したと感じたこと

会社に対して社員に対しての社長としての願望を、感情を交えないで伝えられるようになったとき、私は本当にビジネスを始めたことを自覚でき、これでやっていけると思えました。
そして日常起きることを感情的に対応するのではなく、論理的に対応し、間違いから学べるようになりました。

起業を志す人への一言アドバイス

独立することの厳しさと素晴らしさを始める前に意識していることが大切です。始まりは曖昧であっても、どこかで企業の終点を明確に描くことが必要です。そうでないと大変な時期に行き詰まってしまうからです。常に、目的と目標が明確であることが大事ですが、目標が変わることはもちろん構わないと思います。こうならないようにではなく、こうなるためにという肯定的な目標をもつようにしましょう。大切なのは理念と目標です。

気分転換のしかた

好きな音楽を聴くこと(モーツアルトなど)、月に一度は自然のなかに身をおくこと、瞑想すること、マイナス志向に気づいたらすぐ何かに感謝し、プラスの思考と行動を始めることです。マイナスをプラスにしようとせず、マイナスはマイナスとして認め、プラスを始めること。そのための最高手段は感謝だと思います。例えば、仕事かうまくいかないことを気にして悲観していることに気がついたら、“今日いいお天気ありがとうございます”とか。

その他伝えたいことなど

難しいのは人間関係です。スタッフとの関係はすべて自分の責任だとすること。スタッフが嫌な反応をしてきたら、自分がそれをけしかけていると解釈する習慣をもつこと。それは実際にそうじゃないとしても、そういう見方を身につけることが大切です。そして、お互いに期待することを明確にしておくこと。能力にふさわしい責任をスタッフに与えること。責任とは、責めを担うことですが、それには責任に対する相手の同意を得ておくことが必要です。

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