結婚して子どもを産んでも働き続けられるように士業の資格を取ろうと考えていた野田亜友弓さんは、「自分だけでなく他の女性達も」と考えた結果、学生起業の道を選びました。
仕事の経験 |
結婚 | 子ども |
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生かさなかった | していなかった | いなかった |
学生の頃にアルバイト、異業種交流会などで社会勉強をするうちに、自ら会社を設立して女性が働き続けやすい場を作ろうと決心。卒業を待たずに株式会社アイプレスを設立。ホームページ制作の業務をする一方、女性の視点を必要としているニーズに気付き、若い女性の意見を活用した製品作りに関わりたいとマーティングリサーチ「チームお嬢」を構想。2006年2月にスタート。
年齢 | 西暦 | 主な活動 |
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21歳 | 2004年 |
大学生の時、就職内定先の会計事務所でのアルバイトと行政書士事務所でのインターンをし、ホームページ制作や各種書類の扱い等を身につける |
22歳 | 2005年 | 株式会社アイプレス設立。その後、名古屋大学卒業。秋に「チームお嬢」を構想しドリームゲート創業者祭へ応募 |
23歳 | 2006年 | エリア挑戦者祭・中部大会出場。マーケティングリサーチビジネス「チームお嬢」スタート |
大学生の時、会計事務所でのアルバイトと行政書士事務所でのインターンシップをしていた野田さん。将来、結婚して子どもを産んでも働き続けられるよう、士業の資格をとろうと考えていたのです。しかし、仕事をしながら異業種交流会参加など社会勉強をするうちに、次第に考え方が変わってきました。女性が働き続けることのできる仕事や環境を自分1人だけが享受しても仕方ないのではないか。自分がそういう場を作り出していきたい、と。
独学で身につけたWEB関連の技術で仕事を受け始めていたこともあり、また、学生起業のほうが注目度が高いとも考えた末、卒業を待たずに株式会社アイプレスを設立することにしました。
会社設立後、自社のホームページに辿りつく顧客のアクセス解析をしたところ、「女性」「女性向け」というキーワードが多いとわかった野田さん。女性であり、しかも若いということがデメリットになることもあるビジネスの世界。しかし、それは大きなメリットでもあると気付いたのです。顧客の持っているイメージにユーザーの立場からアドバイスができる、若い女性の視点で意見が言える。そして、マーケティングリサーチビジネスの構想が生まれました。
その頃、ドリームゲート挑戦者祭*の存在を知りました。情報を知ったのは応募締切日当日でしたが、その日からエリア挑戦者祭・中部大会までの間に、マーケティングリサーチ「チームお嬢」の計画をまとめ、100人の会員を集めて、プレゼンに臨みました。惜しくも全国大会は逃しましたが、この直後「チームお嬢」を始動させました。
「チームお嬢」にはあっというまに会員が集まり、すでに約300人の会員が登録しています。アイプレスで受注する仕事の7割がホームページ制作、3割が「チームお嬢」関連。当面の目標は、人を雇って会社を大きくしていくことと、女性の声を集めて企業と一緒に新商品を作る事例を作ることだそうです。
学生起業家として出発した野田さんに、特に若い世代で起業を考えている人へのメッセージをいただきました。「若いうちにしかできないこともあるので、やろう!と思ったらやってみたらいいと思います。実際に起業すると不測の事態は必ず起きるので、事業計画は100%完璧に作ってからというより40〜50%で動き始めたほうが、柔軟に臨機応変に対応していけると思いますよ」
*ドリームゲート挑戦者祭・・・・DREAM GATE(主催:財団法人ベンチャーエンタープライズセンター)が開催する公開型ビジネスプランコンテスト
会社(団体)名 | 株式会社アイプレス |
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URL | http://www.i-press.jp/ |
設立 | 2005年3月18日 |
業務内容 | ホームページ制作、名古屋を中心とする若い女性のマーケティング |
信念や目標があったわけではありません。バックボーンがない状態で仕事をして、徐々に認められるという過程に興味があったからです。また、女性が長く働きやすい場を作っていきたいと思っていました。ちょうどホームページの制作ができたので、それで起業しました。
起業のためにという目的でやったことは特にありません。
当初はお金をもらうということに、少し抵抗がありました。見積を安く出しすぎて、あとで青ざめたことがあります。
起業後にとても素敵な仲間ができたことです。いろいろなところで知恵を貸してくださいました。私一人ではとてもやってこられなかったと思います。
両親には会社設立の届出を出す前日に「会社つくるよ!」と報告しました。驚いていましたが、止められることもなく「ま〜がんばんな〜」といった反応で、ちょっと拍子抜けしました。両親の両親や、兄弟に自営業が多いので抵抗が少なかったのかもしれません。友人には起業後に報告しました。
最初のお客さんからはホームページを通じてご依頼をいただきました。18日に会社を設立して、その夜に自社のホームページを作りました。最初の依頼はその1週間後でした。
とにかくやってみること、いろんな人の意見を聞くこと、現金が先に入ってくる仕組みをつくること。
インターネット、先輩社長のアドバイス、お世話になっている会計事務所のアドバイス。
借入金200万円。
名古屋市の事務所。
会社設立の手続き自体は自分でやったのですが、インターンシップをしていた行政書士のアドバイスはいただきました。契約書についても相談させていただきました。会計事務所さんにもお世話になっています。
ホームページの制作を依頼してくださる方が「女性の視点」とか「女性の感性」といった言葉をよく口に出されていました。それで女性のマーケティングチーム「チームお嬢」を作りました。最初は10名からのスタートでしたが、徐々に増えていき、今は300名くらいの会員様がいらっしゃいます。
自分のためではなく、自分を含めたみんな(女性)のために働きたいと思ったことです。
会社を設立すること自体は重要ではありません。大切なのは、その後、社会に影響を与えつつ、存続していくことです。準備は完璧ではないほうがいいと思います。足りないことを自覚しつつ進んでいくことで、足りないところを埋める方法が早くわかるからです。
マンガ喫茶に行きます。