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第6回 戦後の日本社会と個人の在りかた

境域に立つ

大久保

話し変わりますが、<境域に立つ>という言葉はご存知ですか?

NAMI

いいえ、知りません

大久保

なみさんの話を伺っていると、なみさんの立ち位置というのが、それなんです。

NAMI

どういう意味?

大久保

なみさんは、20過ぎからアメリカで暮らし始めた。
話したり読んだり書いたりするのは、日本語より英語のほうがやりやすい。
半分は日本人だけど、半分はアメリカ人になってる。

日本とアメリカは、国の成り立ちや国柄など多くの点で、対極にあると思うんです。
その対極にある、ふたつの国を行き来して、精神的にも物理的にも、両者の境域に立っている。
それから、医師として身体の専門家になったあと、今度は、コーチングで精神の専門家になられた。
これも、身体と精神という、ふたつの極の境域に立っている。
ビジネス活動もそうですね。
最初の会社は営利会社として利益を出したが、つぎは非営利であるNPO的な活動が主になった。
営利組織と非営利組織という、これもふたつの境域にいる。
なみさんは、ご自身を女性性として感性を重視されていますが、外から見ると、知性がとても明晰で男性性的な印象がある、、、知性と感性、男性性と女性性、両方のバランスがある。
、、、といったように、対極にあるふたつの境域に立つことが多いように見受けられるんです。

NAMI

それは、言われてみて、思い当たるふしがあります。
幼い頃も、そういった経験がありましたから。
どうも、どっちつかずに、ふらふらしているようですね(笑)

大久保

一方だけに自己同一化できないんでしょうね、、、
どうしても分裂してしまう、、、
股裂き状態になる、、、

NAMI

そう、どこに行っても、なにをやっても、そういう傾向がある。

大久保

自分が2つに分裂するというのが大事なポイントで、どちらかに同一化していると、意識が眠ってしまうんですね。
意識が目覚めているためには、この分裂状態が必要なんです。
両極のどちらにも肩入れしないという意味では、ニュートラルな立ち位置です。
一方に自己同一化しているのと、ニュートラルな立ち位置とでは、見方がちがってくると思いますが、そういうなみさんにとって、今の時代や社会は、どんなふうに見えていますか。

戦後の日本社会

NAMI

根本的には何も変わっていないのではないかしら、、、

大久保

戦後からですか?

NAMI

戦前も戦後も今も、根本的には、、、

大久保

変化していないと?

NAMI

そう、根本的にはなにも変わっていない。

もちろん、表面的には、変わったことはいろいろありますよ。
ものが豊富になったり、生活が便利になったり、ビルが高くなったり、ITが進化したり、、、
少子化になったり、女性が社会進出したり、国際情勢が変わったり、、、いっぱい変わりましたが、、、
どれもこれも外側のことばかりでしょう。
オブジェクトは変わったけれど、サブジェクトは変わっていませんね。

大久保

それは、どういう意味ですか?

NAMI

オブジェクトは外側のことね。
サブジェクトは<個>、つまり<セルフ>のことです。
日本語でどう言えばいいのかしら、、、

大久保

主体と客体の関係ですね。
サブジェクトが主体で、オブジェクトが客体、、、
すこし言葉が堅苦しいですが、、、

NAMI

そうです。
大事なのは、サブジェクトつまり主体のほうであって、オブジェクトつまり客体ではないということ、、、
戦前も戦後も今も、変化したのは客体のほうであって、主体は変わっていない。

大久保

今の日本人をごらんになっても、なみさんは、客体は変わりつつあっても、主体はそのままだという認識ですか?

NAMI

大久保さんから、これからの日本人の生きかたや働きかたというテーマをもらっていたので、すこし周囲を振り返ってみたり、資料を調べたりしてみました。

確かに、面白いことをされているかたは、多くなっていると思います。
これからの世界はこうなるとか、こういう変化がおきてくるとか、、、こういうものを実現していこうとか、、、
でも、例外なく、自分の外側のことなんですね。
私が医者のときに、注意が身体に向いていたように、みんなの注意が外に向いている。
外のものをいろいろ取り上げたり、あつかったりしているけれど、そのおおもとはどうなのよ、、、と言いたい。
おおもとに注意をはらわないかぎり、結局はなにも変わりはしないと思う。

大久保

日本人は、まだそういう意識にいっていないと?

NAMI

どこの国でもそうではないですか。

大久保

アメリカでもそうなんですか?

NAMI

そうだと思います。
ただ、アメリカや欧州では、日本にくらべて、<サブジェクト>(主体)に注意が向かう傾向が出始めているかもしれない、、、

今までよりも多くの人が興味を持ち探索をはじめているようにみえます、、、
大久保さんもご存知のように、西欧の個人主義というのは数世紀の歴史の蓄積を経ていますね。
それに対して、日本は、せいぜい戦後1世紀に満たない歴史です。
ここは、相当の差があるのではないですか、、、
従来、日本では、江戸時代は藩、明治以降は国家、そしてずっと家というものが、全体を構成していて、個人はそれらのなかのピースのひとつにすぎなかった。
戦争に負けて、戦後はじめて、個人が基本となった。
集団ではなくて、個人でやっていきなさいと言われたわけです。
これは、とんでもないことですよね。
身体のひとつひとつの細胞が、身体のなかで、身体の一部として、なんの疑いもなくやってきたのに、身体がなくなってしまったので、もうこれからは、細胞は細胞として勝手に生きていってくださいと言われたようなもの(笑)
こういうところの課題が、日本人の根っこにあるのではないかしら。

会社共同体

大久保

たしかに、日本人にとって重要な問題ですね。
戦争で負けて、日本人は共同体としての国家を否定するようになりました。
これは、GHQの洗脳政策の影響も大きかったと思います。
それに伴って、地域や家も解体していきました。
マス産業による高度成長が、そのことに拍車をかけた。
そういう流れのなかで、それでも、人々は共同体を必要とした。
国家や地域に変わって、その共同体の役割を果たしたのが、会社です。
松下幸之助に代表されるような、擬似宗教的共同体組織である会社が、戦後の日本を牽引した。
この現象を指して、海外からは、<日本株式会社>と称されるようになりました。

NAMI

群れることが必要だったのね

大久保

そうですね。
社会におけるアイデンティティとしての<位置>と<役割>を、会社共同体は個人に与えてくれた。

細胞のための新しい身体になってくれたわけです。
この会社共同体が、海外のどこよりも、戦後日本で機能した。
個人が個人として生きていくためには、新しい物語が必要だったわけですが、この物語も会社が肩代わりしてくれた。
ですから、いい大学に入って、大企業に就職して、そこで定年まで勤めあげて、そこそこ出世もして、幸せな家庭をきずく、といった物語が無自覚に共有されてきた。
ところが、この10年から20年の間で、そういう物語が破たんしてしまった。
会社がその役割をやめてしまったからです。
共同体の機能を果たせなくなったんですね。
そこから、日本における、いろいろな問題が派生してきている。

NAMI

私もそうだと思います。

大久保

それを鋭く洞察していたのが、PFドラッカーでした。
というのは、ドラッカーこそが、第二次大戦直後に会社共同体を社会の礎にしようと目論んでいたからです。
しかし、成功したのは日本だけだった。
アメリカではNPOが共同体の役割を担いました。
その日本でも、1990年代頃から、会社共同体の先行きが危うくなってきた。
ドラッカーは、それを見越して、日本人に対し、会社はもうそうではなくなったよ、どうするの、、、と言ってました。
日本企業の成功と日本人の類希(たぐいまれ)な資質とを大変高く評価していたので、会社共同体に組み込まれていた日本人の行く末をとても心配していた。

NAMIさんのネーミング子育て

ドラッカーも亡くなって10年近くになりますが、彼が心配していたことが、そこかしこで端的に現われている。
日本人のひとりひとりに、その喪失の影がある。
自分が拠って立っている足もとが崩れていくような危機感がある。
最近、いろいろなコミュニティやネットワークが雨後のたけのこのように生まれているのは、そういうものの反映というか、このままではだめだという意識が広がっているからだと思いますね。

NAMI

そういうのはわかりますが、、、だけどね、大久保さん、、、
このままじゃだめなのを、どう変えるのというところからみているのは、昔と変わっていないと思う。
どうすれば現状をよくできるの、、、どうすれば現状を変えられるの、、、というのは、全部、継続の手段でしか考えていないということね。
変化は継続のもとだと言われています、、、変わったというためには、前と同じ何かとくらべる必要がある、、、

だから、当面の客体的なこと、たとえば原発とかは変わるかもしれない、、、
ビジネスや経済や政治も変わるかもしれない、、、
だけど、その解決方法というのは、かならず次の問題になっていく、、、
そういう意味では、人間を人間たらしめている、その本質のところはなにも変わっていない。

大久保

難しい話になりましたね。
こういう内容を記事にして、読んでくれる人がいるのかなぁ(笑)




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