起業レッスン114 : 変化への適合
起業レッスン114 : 変化への適合
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前回は、<ドラッカーが日本人に警告>を話しました。
1.戦後の日本社会は、戦前の国家に代わって、<会社>が、<細胞>のための<身体>の役割を担った。
2.<会社と社員>が、戦後の社会秩序の基盤となるように目論んでいた一人が、PFドラッカーだ。
3.ドラッカー博士は、戦中戦後の著作のなかで、そのためのビジョンと理論を力説していたが、真の成功を収めたのは、日本においてだった。
4.米国は、戦後しばらくは、その方向に向かっていたが、やがて、NPO組織が興盛となり、共同体的な役割はNPOが担うようになった。
5.しかし、日本でも、1980年代の経済的成功が1990年代に入って失墜し、<失われた20年>と称される時代へと移っていった。
6.<会社>は共同体的な性格を次第に失い、<身体>の役割から逃れるようになる。
7.ドラッカーさんは、日本の戦後復興を誰よりも早く確信し、戦後経済を担っていた財界人を指導していた。
8.日本の強みも弱みも熟知していた彼は、1990年代中ごろから、日本人に対して、強いメッセージを送るようになる。
9.日本がそれまで成功していた土台が今崩れつつある、、、日本人の生活と精神を支えていた会社が変質しつつある、、、具体的には終身雇用や年功序列などの制度が消える、、、日本のみなさん、その変化への備えをはじめるように、、、と、警告した。
戦後の日本社会は、<会社>と<社員>との関係で、<社会の成り立ち>と<個人の在りかた>を決めていました。
日本人は、それに適合していった、、、海外にくらべて、<過剰なほどの完璧な適合>を示していたと言っていい、、、そして、そこに個々人の心理的な安定も見出していた、、、
戦後の経済的成功の要因のひとつが、この<過剰なほどの完璧な適合>に負っていたのです。
しかし、経済的成功をもたらした<過剰なほどの完璧な適合>が、やがて足かせになってきます、、、
グローバルな競争のなかで、<会社>は、共同体的な在りかたから経済機能的な在りかたにシフトせざるおえなくなる、、、終身雇用や年功序列などの制度が見直される、、、人材のコモディティ化に向かう、、、
<会社>も<社員>も、従来のやりかたや考えかたを方向転換することを迫られる、、、
みずから変化しなければならないが、成功者にはそれが難しい、、、戦後の経済的成功は、<会社>も<社員>もどちらも硬直的なものにしてしまった、、、
1990年代、グローバルな変化が激しくなり、この変化に対応できなければ生き残っていくことができないが、、、対応の難しい国のひとつが<日本>だと、ドラッカー博士は指摘しました。
奇跡的な成功を収めたがゆえに、変化への適合の難易度が高くなっている、、、だが、日本は過去に、明治維新と敗戦復興というふたつの変化をやりとげた、、、今こそ、3番目の変化に目覚める時だ、、、というメッセージを、博士は送りつづけたのです。
(続く)
大久保忠男
** 以上は、2016年6月9日配信<起業レッスン>の再掲です *
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