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起業レッスン113 : ドラッカーが日本人に警告

起業レッスン113 : ドラッカーが日本人に警告
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前回は、<身体と細胞>について話しました。


今はどういう時代で、私たちはどのような状況におかれているのか?、、、という問いに対するキーワードのひとつが<身体と細胞>でした。

これまで述べてきたことを整理しておきましょう。


1.社会と個人との関係を、<身体>と<細胞>の関係にたとえると、、、戦前は<国家>と<国民>だった。

2.しかし、先の敗戦によって、国家が破綻した。

3.戦争で負けて、日本人は共同体としての国家を否定するようになった。

4.国家とともに、<身体>の役割を担っていた地域や家も解体していった。

5.<身体>の役割を担っていた国家が破綻したため、<細胞>である個人は、国民という衣服を剥奪され、裸の状態になった。

6.ひとつひとつの<細胞>が、身体から離れて生きていかなければならなくなった。

7.まもなくして、国家や地域のかわりに、<会社>が身体の役割を担うようになった。

8.松下幸之助に代表されるような、<擬似宗教的共同体組織>である会社が、戦後の日本を牽引した。

9.この現象を指して、海外からは、<日本株式会社>と称されるようになった。

10.<身体と細胞>の関係は、<国家と国民>から<会社と社員>の関係へと移行した。

11.この<会社共同体>の仕組みは、戦後の日本で大成功した。

12.<日本株式会社>は、敗戦で社会体制が崩壊し、社会的衣服が剥奪されて裸になった個人に対して、<細胞>のための<身体>の役割を担った。

13.しかし、この仕組みが成功しすぎたために、今、日本社会の苦渋があると言うことができる。

14.高度成長期の日本の劇的な経済拡大を怖れた米国は、1985年のプラザ合意で日本を経済的に追い詰めるが、この頃が、歴史的に<日本株式会社>のひとつの分岐点となる。

15.以後、グローバルな競合の時代となって、<会社>は本来の機能的な組織への回帰をはじめる。

16.そして、次第に<会社>の共同体的な性格が失われていく。

17.つまり、会社が、<細胞>のための<身体>の役割から逃れるようになっていった。


<会社と社員>が、戦後の社会秩序の基盤となるように目論んでいた一人が、PFドラッカーです。

ドラッカー博士は、戦中戦後の著作のなかで、そのためのビジョンと理論を力説していましたが、真の成功を収めたのは、日本においてでした。

米国は、戦後しばらくは、その方向に向かっていましたが、やがて、NPO組織が興盛となり、共同体的な役割はNPOが担うようになりました。


しかし、日本でも、1980年代の経済的成功が1990年代に入って失墜し、<失われた20年>と称される時代へと移っていきます。

ドラッカーさんは、日本の戦後復興を誰よりも早く確信し、戦後経済を担っていた財界人を指導していました。

日本の強みも弱みも熟知していた彼は、1990年代中ごろから、日本人に対して、強いメッセージを送るようになります。

日本がそれまで成功していた土台が今崩れつつある、、、日本人の生活と精神を支えていた会社が変質しつつある、、、具体的には終身雇用や年功序列などの制度が消える、、、日本のみなさん、その変化への備えをはじめるように、、、と、警告したのです。


(続く)



大久保忠男



** 以上は、2016年6月2日配信<起業レッスン>の再掲です *
  
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