起業レッスン095 : PFドラッカーの洞察力(6) : ドラッカーというビジョン
起業レッスン095 : PFドラッカーの洞察力(6) : ドラッカーというビジョン
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前回は、<ドラッカーの予期せざる成功と予期せざる失敗>について話しました。
1.1985年に発刊された『イノベーションと企業家精神』は、ドラッカーが著した古典的名著。
2.新規事業を展開する上で、現実的に実践できる体系的方法をはじめて明らかにした本で、イノベーションに携わる者にとってのバイブルとなった。
3.この書でドラッカー博士は、それまで流通していた新規事業ノウハウやイノベーション思考方法とは、異質な考えかたや方法論を駆使している。
4.その異質性のひとつが、<予期せざる成功>と<予期せざる失敗>。
5.<予期せざる>という形容詞が、キーワード。
6.先述した<すでに起こった未来>と<非顧客>と同様に、この<予期せざる>という言葉にも、ドラッカー博士の洞察力の秘密が隠されている。
ドラッカーの洞察力の秘密を探る上で、これまでに、<すでに起こった未来><非顧客><予期せざる>という3つのキーワードをみてきましたが、これらに共通するものはなんでしょうか?
それは、<意識に反映されていない>ものだということです。
日常意識を通過して認知されなかったものたちの異名です。
ドラッカー博士は、そのような通常は認知されえないものに言葉を与えて、認知されるものにした、、、
つまり、鏡に映らないものを映せるようにしたわけですね。
だから、予言者と称されるようになった、、、
なぜ、博士にはそれが可能だったのか?
非可視光領域を見ることのできるメガネのようなものを持っていたのか?
それを知るためには、ドラッカー博士の思考プロセスを逆にたどる必要があるように思います。
博士は、さまざまな世界で活躍しており、書き著した分野も多岐にわたっています。
経営学、社会学、自己啓発、歴史、技術、知覚理論、哲学など、博士の教養の広さと深さは計り知れない。
そうした世界に入ると、個々の洞察や体系に幻惑されて、こちらの注意が限りなく拡散していきます。
気がつくと、<ドラッカーワールド>に完全に取り込まれてしまっています。
しかし、それらが生まれてきた道を逆にさかのぼっていくと、ドラッカーワールドが集約されたところに行き着く、、、
それは、光に照らし出された森羅万象の世界から離れて、それらを照らし出している光源に向かうようなものです。
博士が見ているさまざまな光景ではなく、それらの光景を見ている博士の目に近づこうとすること、、、
その目に限りなく接近すると、<すでに起こった未来><非顧客><予期せざる>などの言葉に共通する秘密が明かされてくるのではないか、、、
それを仮に、ドラッカーというひとつの<ビジョン>と名づけておきましょう。
そのビジョンを、自分の内にも芽生えさせ育てられれば、ドラッカー博士の秘密を<私自身>も共有することができるはずです。
(続く)
大久保忠男
** 以上は、2016年1月14日配信<起業レッスン>の再掲です *
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