起業レッスン094 : PFドラッカーの洞察力(5) : ドラッカーの<予期せざる成功と予期せざる失敗
起業レッスン094 : PFドラッカーの洞察力(5) : ドラッカーの<予期せざる成功と予期せざる失敗>
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前回は、<ドラッカーの非顧客の概念>について話しました。
1.なぜ、<現在のなかにすでに起こった未来>を、博士は見ることができたのか?
2.その<秘密>に通じるカギとなるもののひとつが、ドラッカーの独特なマーケティング概念である<非顧客>という言葉だ。
3.通常は、マーケッターも経営者も営業担当も、<見込み客>になる可能性がなければ、<非顧客>など、だれも相手にしない。
4.<非顧客>は、<すでに起こった未来>とともに、予言者ドラッカーの秘密を明かすカギとなる言葉だ。
今回は、ドラッカーの<予期せざる成功と予期せざる失敗>という言葉を取りあげます。
1985年に発刊された『イノベーションと企業家精神』は、ドラッカーが著した古典的名著です。
新規事業を展開する上で、現実的に実践できる体系的方法をはじめて明らかにした本です。
以来、新規事業や起業に類するイノベーションに携わる者にとってのバイブルになりました。
当時、新規事業の構築ノウハウを探求していた私も、出版されるや何度も読みました。
もう20年以上読み返していませんが、、、はじめて読んだ時の衝撃はよく覚えています。
それまで学んでいた新規事業ノウハウやイノベーション思考方法と、いかに異質な考えかたや方法論を駆使しているかに驚きました。
その異質性を強く感じたもののひとつが、冒頭で言及される<予期せざる成功>と<予期せざる失敗>です。
イノベーションの最も重要な指標が、このふたつだと言うのです。
<予期せざる>という形容詞が、キーワードです。
<予期せざる>ものから、イノベーションの機会に入っていく、、、
当時の思考方法を基軸にすると、これは転倒した方法論だと感じました。
極端に言うと、当時の一般的な方法論をすべて無効にするかのようなインパクトがあったのです。
イノベーションに関する、ドラッカーのこの思考体系と方法論については、ビジネス界でもいまだによく理解されていないようです。
、、、というのは、ここにも、ドラッカー博士の秘密が隠されているからです。
先述した<すでに起こった未来>と<非顧客>、そして今回の<予期せざる>という、これら3つの言葉は、ドラッカー博士の洞察力の秘密を共有しているのです。
(続く)
大久保忠男
** 以上は、2015年12月24日配信<起業レッスン>の再掲です *
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