起業レッスン028 : ミニ起業家物語 − たったひとりの顧客像
起業レッスン028 : ミニ起業家物語 − たったひとりの顧客像
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前回は、<起業家物語−わたしのビジネスって?>を話しました。
佐藤さんは、、、オーガニックコットンのビジネスを続けてきましたが、ここにきて、ようやく、顧客と市場のことをまじめに考えるようになりました。
そして、、、「わたしはどういうビジネスをやりたいんだろう?、、、わたしのビジネスってなんだろう?」という疑問がわいてきました。
【佐藤真美さんのミニ起業家物語−15】
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<顧客>とは、<市場>とは、なんだろうか?
他の誰でもない、<わたし>にとって、なんなのか?
一般的な教科書で説明されている統計的な数字や属性分析の理解で終わってよいのか?
佐藤さんの直感はそうではないと言っていた。
その理由を自分にも明らかにできなかったが、そのかわりに、こんなことを佐藤さんは思い出した。
昔、佐藤さんは、ミッション系の高校に通っていた。
そこで、シスターからイエス・キリストの話を時折聞くことがあった。
佐藤さんは、その敬虔な時間が好きだった。
ある時、シスターはこんなことを言った。
「イエス様は、、、<たったひとり>のあなたの前に立っています、、、あなたも、、、<たったひとり>で、イエス様の前に立つのです、、、」
意味がよくわからないまま、佐藤さんの心に残っていた言葉だった。
ふと、その言葉を思い出したのだ。
そして、、、<ひとり>と<ひとり>との関係というもの、、、それがとても神聖で大切なことのように感じたのだ。
「わたしと顧客との関係もそうではないのだろうか、、、」
「わたしの顧客は、何百人であろうと、何千人であろうと、たったひとりではないのか、、、たったひとりの顧客の前に、わたしもたったひとりで立つことが大切なのではないだろうか、、、」
たったひとりの顧客像の前に、わたしが、たったひとりで立っている、、、
そこから出発すべきではないか、、、
<わたし>にとっての<顧客>とは、統計数字でも属性分析でもない、、、
<わたし>と<顧客>の関係性は、、、統計数字や属性分析とは相容れない、というよりも相反するものではないのか、、、
佐藤さんの直感は、そう語っていた。
「たったひとりの顧客と、たったひとりでその前に立つわたしとの間を結びつけるものが、わたしのオリジナル商品だ、、、そのようなものとして、オリジナル商品を考えるべきだ、、、」
佐藤さんは、ようやく、オリジナル商品開発に向けての扉を発見できたような気がした。
では、たったひとりの顧客像というものをどのように理解すればよいのか、、、
佐藤さんは、またこんなことも思い出した。
昔読んだ雑誌の記事だった。
その記事は、米作りの農家の父親が、遠く離れた都会に住む娘のために、有機米を仕送りしている話だった。
作物のほとんどは、普通に農薬散布され、農協を通じて一般市場向けに出荷されていたが、娘のためだけに、別枠で有機米を特別に手をかけて栽培していたという。
当時、これを読んだ佐藤さんは、一般市場向けと身内の娘向けとの差別にすこし複雑な気持ちになったことを覚えていた。
しかし、、、娘のために作った有機米は、父親の愛情のこもった宝のような作物だったろうと想像できた。
それだけでなく、稲作自体が、その労働自体が父親の心の中で燦々と輝いていたのではないか、、、とも思えた。
「わたしのオリジナル商品も、、、そして、商品作りも、仕事も、、、このような輝いたものにできないのか、、、農協向けの一般米ではなく、娘のための有機米のように、、、」
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(続きは次回へ)
大久保忠男
** 以上は、2014年3月20日配信<起業レッスン>の再掲です *
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