起業レッスン021 : ミニ起業家物語 − 自前のECを持つ
前回は、<ミニ起業家物語−チームをつくる>を話しました。
プロジェクトベースの仕事をするためには、信頼できるチームが必要なこと、、、
信頼できるチームをつくるためには、チームメイト候補と小さな仕事を共有分担して、能力と信頼度を相互確認すること、、、
そういう活動の蓄積のなかから、次第にチームができてきます。
さて、佐藤さんは、チームメイトになりそうなひとりと出会いました。
それは、web制作のフリーランサーである野中幸恵さん。
佐藤さんは、野中さんを、能力的にも人間的にも信頼できるチームメイトとして見るようになります。
しばらく後に、野中さんは、佐藤さんに、ある提案をしました。
【佐藤真美さんのミニ起業家物語−8】
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「オーガニックコットンのECショップをつくりませんか?」
野中さんから佐藤さんへの提案だ。
佐藤さんの会社、(株)エコスタイルは、まだ自前のホームページも持っていない。
会社を紹介するためのホームページが必要不可欠なのはわかっていたが、忙しさにかまけて、なかなか手がつけられなかった。
(株)エコスタイルのECショップができれば、そこで会社紹介も兼ねられるので、一石二鳥だ。
佐藤さんがサイトのコンテンツを用意してくれれば、ECサイト制作や受注・決済・サーバーなどの仕組み一切を、野中さんのほうで引き受けてくれると言う。
日々のメンテナンスも、コンテンツや商品関連の対応は佐藤さん、システム関連の対応は野中さんという分担だ。
鎌倉エコショップと同じ収益シェア方式だが、サーバー費用だけは、佐藤さん持ちという条件。
佐藤さんにとっては、悪い話ではない。
本来なら、ECショップの開設と運用にともなう固定費用(サーバー費用を除いて)が発生する。
また、それ以上に時間や注意を取られることになる。
そうしたことを心配しないで、自前のECサイトを持つことができるのは、ありがたい、、、
最近は、PCでもモバイルでも無料で利用できるECサイトサービスが増えている。
(ヤフーショップも無料となった)
昔にくらべると、EC開設のハードルは随分と低くなった。
しかし、それでも、そういうことに慣れない者にとっては、問題が発生したときの対応など、煩わしいことに変わりはないので、野中さんのようなエキスパートが常時ケアしてくれることは格段に心強い。
EC開設に際して、佐藤さんの準備すべきことは、
1.仕入れ商品の選定と仕入れ条件の折衝・契約
2.商品の価格設定
3.商品の仕様・特徴など説明文の作成
4.商品の写真撮影と写真選定
5.基本事項(会社案内、注文方法、特定商取引法表示、プライバシーポリシー等)の作成
etc.,
上記の内、基本事項に関しては、野中さんが一般的な定型原案を用意してくれるので、佐藤さんは、それに固有情報(会社名や住所など)を加味するだけだ。
、、、ということで、佐藤さんは、まず、仕入れ商品の選定と仕入れ条件の折衝・契約を進めることにする。
仕入先については、現在取引している3社(前職の会社、鎌倉エコショップ、自然化粧品会社)のために活用している既存仕入先が数社ある。
まず、その数社と、新たな仕入れ折衝をはじめたが、折衝に際しては、佐藤さんは、これまでにない仕入れ条件を求めた。
その仕入れ条件は2つあった。
ひとつは、ロット仕入れではなく、一点注文とすること。
ふたつめは、仕入先から顧客への直接配送とすること。
ひとつめのロット仕入れというのは、数個〜10数個単位の定型梱包による注文で、送料や手間などの問題もからんで、通常は一般的な商習慣となっている。
この商習慣を変えて、一個から仕入れられるようにしてほしいという要望である。
配送は、本来であれば、あらかじめ仕入先から(株)エコスタイルに納品され、注文客には(株)エコスタイルから配送されるのが普通だ。
しかし、これも、特別に(株)エコスタイルを通さないで、仕入先から注文客に配送してほしいという要望だ。
いずれも、仕入先(メーカーまたは卸)にとっては、受けたくない条件であり、組織規模の大きなところではまず無理な相談である。
佐藤さんの熱意もあり、ねばり強い折衝によって、小回りのきく1社だけが要望を受け入れてくれた。
そのかわり、仕入れ価格や決済条件などは通常より厳しい数字となった。
価格条件については、将来に実績をあげた上で、あらためて条件見直しをせまるしかない。
ともあれ、仕入先と仕入れ条件が確定したので、佐藤さんは、他の作業に入った。
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(続きは次回へ)
大久保忠男
** 以上は、2014年1月30日配信<起業レッスン>の再掲です *
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