起業レッスン011 : 働きかたの変化
前回は、会社(従業員)社会の転換を取り上げました。
日本の会社が、家族共同体的な組織から、機能や効率を優先する組織へ転換し、グローバル化とあいまって、人材のコモデティ化が進み、会社と働く者との関係が変わってしまった、、、
したがって、働く個人のほうも、会社に対して見方や立ち位置を変えなければならない、、、
つまり、働きかたを根本から見直さなければならない、、、ということを話しました。
今日は、その働きかたの変化について話します。
働きかたについて考える場合、一番大きなポイントはなにか?
それは、、、
「昔は、会社の寿命は半永久的で、仕事人生は30年と考えられていたが、現代は、会社の寿命はせいぜい30年ほどで、仕事人生は約50年に延びた」
、、、というところにあります。
会社の寿命はどんどん短くなっており、安定した大企業でも最長30年を目安に考えたほうが良いと言われていますね。
一方、働く個人は、20過ぎに社会人をスタートし、かっては55歳定年でしたが、今では、70過ぎまで働くことができます。
おそらく、将来は、75歳定年説が出ているでしょう。(年金支給もそれに同調するかもしれません。)
50年以上の仕事人生を前提に、人生設計を考えなければならなくなったのです。
会社の寿命と仕事人生には、20年の差があるので、仕事人生をひとつの会社でまっとうするのは原則的に無理がある、、、
つまり、若い頃に入社した会社に、自分の仕事人生をまるごと託すことはもうできない、、、
自分自身が仕事人生の主人になって、キャリアプランを実行しなければならない、、、
ということは、つねに、今所属している会社を辞めた後、どのような働きかたが自分には可能か、という問いに答え続けていかなければならない、、、いうことになります。
今、会社で働いている人は、その答えを用意できているでしょうか?
昔は、大手企業に新卒入社すれば、教育研修と現場経験を通じて、3年もすると、社会人としてのイロハと必要なビジネスノウハウを習得でき、10年経てば中堅として会社の実質を背負うようになりました。
今は、企業が提供する教育研修も現場経験も、以前ほどの価値はありません。
時代が変わり、企業研修が教えるような過去のスキルが通用しなくなったからです。
現場経験についても、大企業の社内業務の類は、これからの時代には無用の性格のものが多く、そうしたものは、いくら経験しても社外では通用しない。
そして、会社人として最も貴重な経験は、<意思決定と失敗>の経験です。
特に、新規事業や新企画など新しい未経験なことにチャレンジし、そこで<意思決定と失敗>を経験することから、キャリアの実質が真に充実したものになります。
ところが、現今の企業はリスク回避の傾向が強くなり、以前にもまして、失敗を許さなくなりました。
こういう環境に長くいると、当然、誰も挑戦しなくなります。
給料を安定的に貰えていれば、無理をしてリスクをとることもないと考えるようになる。
結果的に、<意思決定と失敗>の経験が得られなくなります。
そして、このような状態に陥ることが、働く個人にとって、最大のリスクになります。
よく言われる、「徐々にゆでられたカエル」になってしまうのですね。
「ゆでられたカエル」に化してしまうと、自己決定能力が失くなり、イザという時に変化に対応できなくなってしまう。
最初に話したように、会社の寿命は短くなっている。
30年と言いましたが、現実的には数年から10数年と覚悟しておいたほうがいいでしょう。
おまけに、人材のコモディティ化により。いつでも取り替え可能な立場に追いこまれている。
ですから、優秀な人ほど、会社の【なかで】働くのではなく、会社の外で、会社と【ともに】働くことを選択するのです。
近い将来、【なかで】から【ともに】への移行は、急速に増大していきます。
移行をうながしている最大の理由のひとつ、、、それは、私たちの社会が、工業化社会から知識産業社会へと転換したからです。
起業家社会で生きるためには、この知識産業社会を理解しておく必要があります。
大久保忠男
** 以上は、2013年10月9日配信<起業レッスン>の再掲です *
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