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起業レッスン010 : 会社(従業員)社会の転換

前回は、ミニ起業家を支援する<ハブ>システムについて話しました。

さまざまなスタイルの<ハブ>システムが生まれてくること、、、

企業、自治体、政府系機関、大学、NPOなどが、それぞれの機能を生かした、新たな<ハブ>構築を模索しはじめること、、、

とりわけ、大手中堅企業は、自身の一部を<ハブ>化していかないと、生き残れない時代になること、、、などを話しました。


今日は、大手中堅企業が直面している課題と働きかたの変化について、話します。

戦後日本社会の中核を担ってきた会社(特に大手中堅企業)は、その<信条とスタイル>で会社〔従業員〕社会を支えてきました。


<信条とスタイル>とはなんでしょうか?


それは、家族のような信頼関係と忠誠を信条とした共同体であり、それを基盤にして、終身雇用制や企業内社会保障、企業内教育、ピラミッド型キャリア制などの仕組みが機能していたことです。

これが、戦後日本企業の強みであり、欧米よりも強固な、この共同体的な特徴を指して、かっては、<日本株式会社>と呼ばれていました。

しかし、あなたもご存知のように、すでに、この強みは弱みに転じてしまいました。

日本企業は、従来の共同体的な側面を削ぎ落として、より機能的な仕組みに変わっていかなければ、生き残っていけなくなったのです。

その主な理由は2点あります。

ひとつは、世界的な競争原理が変わったことにあります。

もうひとつは、働くものの意識が変わったことにあります。

これらについては、また後日詳しく取り上げたいと思いますが、今は、次の点に注目してください。

<日本企業>と<働く個人>との関係が大きく変わってしまったことにより、個人のほうも、働き方についての固定的な考え方をあらためる必要があるということです。


<人材のコモディティ化>という言葉を聞いたことがありますか?

コモディティとは日用品という意味です。

石鹸やボールペンの類で、どこでも手に入り、取り替えても構わない、いわば個性のない品です。

企業にとっての人材も、このコモディティ化が進んでおり、これを<人材のコモデティ化>と呼んでいます。

日本企業が、共同体的な体質から、経済機能的な体質に変わったことが一因ですが、もうひとつ、就活競争がグローバルに拡がったことも大きな要因です。

世界市場で展開している大手企業は、海外採用の比率を大幅に増やしていますし、某企業は、<世界同一賃金>を謳っています。

会社で仕事を得るのも、その仕事を維持するのも、常に、グローバルな競争を戦い抜いていかなければならない、、、

そういう時代になったのです。

端的な例は、IT技術者ですね。

ずいぶん前から、国内のIT技術者は、インドなど海外のIT技術者とのコスト競争に巻き込まれていました。

これからは、地域的な対面サービスなど特別なケースを除いて、多くの分野でこのIT技術者と同様の状況になるでしょう。

一方で、大手中堅企業は、そのような世界的な視野での人材獲得に励んでも、社内人材だけで成果をあげることはできない、、、

社外に広く触手を伸ばして、優秀な人材とのコネクションを築かないかぎり、他社との競争に生きぬくことができない、、、

そのために、自社がリーダーシップをとるべき分野では、<ハブ>的な位置を占めることが決定的に重要になるわけです。


おそらく、「正社員」という呼称は、次第に意味の無いものになっていくでしょう。

優秀な人材ほど、この環境変化に敏感に対応して、有利なポジションを探そうとするでしょう。

そのポジションのひとつが、ミニ起業家です。


次回は、<働き方の変化>を話します。



大久保忠男


** 以上は、2013年10月2日配信<起業レッスン>の再掲です *

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