スピリチュアルレッスン137 : シフト15 個(自己自身)であろうと欲しない絶望
スピリチュアルレッスン137 : シフト15 個(自己自身)であろうと欲しない絶望
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前回は、<ファシズム分析>を話しました。
1.社会の崩壊に対する救済装置としてのファシズム出現のメカニズムを詳細に分析したのが、ドラッカー博士の『経済人の終わり』。
2.1939年に発表されたが、すぐにナチスによって発禁処分になる。
3.博士は、発表前に、ナチス統治下のオーストリアからイギリスを経由して、アメリカに逃れた。
4.同書は、ファシズムについての独創的な分析内容が注目され、当時ナチスと戦っていた英国首相チャーチルからも絶賛された。
5.戦争当時、反ファシズム陣営のファシズム批判は、一般には下記のようなものだった。
・・・ファシズム全体主義は、人間の原始的な野蛮性と残虐性の悪質な表現である。
・・・ファシズム全体主義は、マルクス社会主義を妨害するブルジョア資本主義のあがきである。
・・・ファシズム全体主義は、無知な大衆の下劣な本能に対する巧妙かつ徹底したプロパガンダの結果である。
6.これに対して、同書における30歳前のドラッカー博士は、いずれの見解も見当外れだと言う。
7.では、<ファシズム全体主義と理解するためのカギはなにか?>、、、
8.この問いに対して、博士の答えは、、、<大衆の絶望こそ、ファシズム全体主義を理解する上でのカギである、、、旧秩序の崩壊と新秩序の欠落による絶望がそのカギである>、、、というもの。
9.社会が崩壊しカオス化することで、社会人としての自分自身も崩壊し、裸の個として群集化し、そして絶望にいたる、、、それがファシズムの発生メカニズムであると、博士は考えたのだ。
市民社会を維持できないと(社会的)市民は存立できない、、、個人は途方にくれる、、、自分をカオスから救い上げてくれる器を求める、、、器を与えてくれる救世主を求める、、、
その要請に応えて、、、いびつな器と非合理なカリスマが出現する、、、
ドラッカー博士が、ファシズムのメカニズムを洞察できたのは、背景にキルケゴールの思想があったからです。
ドラッカーは、17歳の時にキルケゴールと決定的な出会いをしましたが、それ以来、博士の人間洞察の根底にはつねにキルケゴール思想があります。
そのキルケゴールは、人間の精神の在りかたのひとつとして、<個(自己自身)であろうと欲しない絶望>という定義をしました。
ファシズム発生のおおもとに、<個(自己自身)であろうと欲しない絶望>を、博士は見ていたのです。
<個(自己自身)であろうと欲しない絶望>とは、、、わたしたちひとりひとりの一般的な在りかたです。
社会が崩壊し、市民としての自分が、社会的自分が、つまり世間的自分が壊れていくと、必然的に<個(自己自身)であろうと欲しない絶望>にいたるのです。
(続く)
** 以上は、2016年10月20日配信<スピリチュアルレッスン>の再掲です *
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