スピリチュアルレッスン127 : シフト5 ヘルマンヘッセ『デミアン』2
スピリチュアルレッスン127 : シフト5 ヘルマンヘッセ『デミアン』2
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前回は、<ヘルマンヘッセ『デミアン』>を話しました。
1.<シフト>の姿を力強く描いた小説が、ヘルマンヘッセの『デミアン』。
2.第一次世界大戦が終わった翌年の1919年に発表され、当時のドイツ青年から熱狂的に迎えられたと言われている。
3.ドイツは敗戦で悲惨な状況にあったが、欧州社会自体が19世紀末から瓦解しはじめ、20世紀に入ってから混迷を深めていた。
4.それまで<理性の王国>と謳われていた社会ビジョンの価値観や秩序が崩れて、ドイツ青年は、生きる意味や社会の姿を見失っていた。
5.『デミアン』は、そういう青年たちに、内面世界に向かうことを教えた。
6.こういう一節がある、、、<鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う、、、卵は世界だ、、、生まれようと欲するものは、ひとつの世界を破壊しなければならない>
19世紀型欧州社会に生きる人間のモデルは、バルザック小説群『人間喜劇』に余すところなく描かれています。
そのモデルというのは、個人が社会によってすみずみまで充たされているというものです。
医者は医者らしく、高利貸は高利貸らしく、社会のさまざまな範型が市民として登場します。
しかし、、、社会によってすみずみまで充たされている個人、つまり市民は、社会が崩壊すると、自分も一緒に崩れていきます。
個人は、市民としてのアイデンティティを失い、裸の個人になります。
裸の個人は自立できないので、群集と化します。
そして、、、群集は、宗教的共同体を求め、カリスマを呼び寄せます、、、これがファシズムの到来です。
『デミアン』は、そうした方向とは異なった、もうひとつの人間の在りかたを示しました。
社会が崩壊するなかでも、個人が自立することが可能な方向です。
それを実現するのが、自分のなかでうごめいている<鳥>です。
それは、まだ雛(ひな)であって、卵のなかでようやく目覚めようとしている。
まず、その<鳥>に気づかなければならない。
気づくと、、、鳥は卵の中からぬけ出ようと戦い始める、、、鳥とはなにか?、、、卵とはなにか?
(続く)
** 以上は、2016年9月15日配信<スピリチュアルレッスン>の再掲です *
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