市場調査は事業計画作成の基礎となります。市場が求めるものを市場が求める形で的確にいかに提供できるか。それを理解するための市場調査は、事業開始の前段階として非常に重要な意味を持っています。とは言っても「実際にどうやって市場調査を行うの?」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。方法はアンケート、面接(インタビュー)、実験・観察等、さまざまな方法があります。インターネットが普及してきた現在では、ネットを利用した調査を行うことも比較的、低予算でできるようになってきました。どの方法が良いかは一概には申し上げられませんが、重要なことは対象顧客となる層に対して調査するということです。調査は調査会社に委託して行うこともできますが、起業時は資金がどうしても不足がちです。市場を理解することにもつながりますので、まずは自分でやってみることをお勧めします。
みなさんが市場調査として思い浮かぶのがこのアンケートではないでしょうか。調査の手段として非常になじみの深いものですね。ただ、やり方を間違えるとアンケート結果がなんの意味も持たないようなものになってしまいます。例えば「こんなサービスがあったら使いますか?」という質問に8割の人がYesと答えたとしましょう。これで8割の人に受け入れられるはずと結論づけるのは少し危険です。これは自分がアンケートに答える立場になれば、すぐに理解できます。アンケートでは気軽にYesと答えても、実際にお金を払ってサービスを受ける段階になると、そう簡単に財布の口は緩めないものです。ですので、アンケート調査を実施する場合には表面上の調査結果をそのまま信じてはいけない場合が多くあることに注意してください。
その点お勧めなのが面接による調査です。対象顧客層に属する数人に対して1人当たり30分から1時間程度、あらゆる角度から質問すれば、顧客のことがかなり深く理解できるはずです。十分理解していると思っていた顧客層の考えが実は全く知らないことだらけであった、ということはよくあることです。面接調査ではあなたが提供しようとしている製品・サービスについての意見を聞くだけでなく、対象顧客層がよく読む雑誌、インターネットのサイト、行く場所等の情報も入れましょう。それにより事業開始後にどのようにして対象顧客にアプローチすればよいのかが見えてくるはずです。
実験・観察による調査は、プレマーケティングとも呼ばれており事業開始前には是非取り入れてみたい手法です。対象顧客層のうち、狭い範囲の顧客層に対して、実際の製品・サービスを提供して反応をみます。これにより、実際の顧客の反応を見えますし、提供しようとしている製品・サービスの改善点も見えてきます。結果が満足のいくものでなければ、製品・サービスの中身や提供手法、価格などを見直して何度でもプレマーケティングをやり直すべきです。コストはかかりますが、本格的に事業を開始してから改善するよりは、はるかに安上がりです。
いくつかの方法について説明しましたが、市場調査で重要なことは、「冷静かつ客観的に判断する」ということに尽きます。事業を始めようとしている人は、自分が提供しようとしている製品・サービスに惚れこんでいます。そうなると欠点が見えなくなるし、見えていても見ようとしなくなるものです。せっかく調査で顧客が問題点を指摘しているのに、その顧客が間違っているなどと考えては調査の意味がありません。